2026.8.19
フランチャイズ化・賃借権の譲渡に関する条項について【コラム】
売買や賃貸において使用される契約書のフォーマットは、各社が所属する業界団体で定めた雛形であることが一般的です。
当社は下記①の「ハト」に所属しておりますが、下記②の「ウサギ」に所属されている元付業者様と契約内容の調整段階で賃借権の譲渡に関する内容で議論になることがあります。
【主な4大宅建事業者団体】
①全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連 / ハトマーク)
全国の不動産業者の約8割が加盟する国内最大の団体。
②全日本不動産協会(全日 / ウサギマーク)
業界で最も歴史の古い全国組織。
③不動産流通経営協会(FRK)
大手・大手系列の不動産仲介会社(三井・住友・東急など)が中心となって構成されている団体。
④全国住宅産業協会(全住協)
中小のデベロッパーや新築住宅の分譲・仲介企業が多く加盟する団体。
※媒介契約書などは、国交省が告示する「標準宅地建物取引業媒介契約約款」がベースです。各団体はこの標準約款に準拠した雛形を作成しています。
【賃借権の譲渡に関する内容について】
賃貸人(オーナー)が賃借人Aと契約を締結し、賃貸借が開始することになりますが、賃貸人に事前報告無く、賃借人Aが賃借人Bへ賃借権を譲渡してしまうことを禁止する内容の記載があります。
賃借権の譲渡を禁止する内容は一般的ですが、上記②の全日の雛形では、「代表者等役員の変更」「株式譲渡等による経営主体の実質的変更は賃借権の譲渡」についても禁止行為とされており、事前に賃貸人の承諾なく役員変更等を実行すると、賃貸人は解約することが出来る記載になっています。
賃貸借期間が数年間、普通借の場合は数十年間続く可能性がある中で、経営環境の変化に伴い賃借人の代表者や役員の変更等、状況が変化していくことは往々にしてあります。
【過去の判例について】
過去の判例によると、最高裁は「賃借人が法人である場合において、法人の構成員や機関に変動が生じても、法人格の同一性が失われるものではないから、賃借権の譲渡には当たらないと解すべき」と、法人格そのものは変わらず、法人格の同一性が保たれている限り、賃借権を引き継ぐことは賃借権の譲渡に当たらない、とのことです。
また、「特定の個人が経営の実権を握り、社員や役員が右個人及びその家族、知人等によって占められているような小規模で閉鎖的な有限会社が賃借人である場合についても基本的に変わるところはない」と、上場・非上場や法人の規模で法人格の区別はできず、同一性の法人格が維持されていれば、賃借権の譲渡でないと判示されており、実質的に機能していないことになります。
一方、「会社との間で賃貸借契約を締結する際に、賃借人が賃貸人の承諾を得ずに役員や資本構成を変動させたときは契約を解除することができる旨の特約をするなどの措置を講ずることができる」と判事されており、特約にて同意した内容に関しては無効とはならず例外となります。
【フランチャイズ化を想定している場合】
上記の判例としては、賃借人の代表者や役員の変更等は賃借権の譲渡には該当しないことになりますが、事前にこのような条項を整理しておくことで、不要なトラブルを回避することができます。
また、フランチャイズ化については、契約者の変更・賃借権の譲渡に該当します。
将来的にフランチャイズ化を想定している場合などは、契約時に賃貸人と調整し、特約や条件を入れておくことで円滑な譲渡が可能になります。
企業様の将来的な様々な可能性に応じて、細かな点についても調整させていただいておりますので、お気軽にご相談ください。
事務所・サービス店舗のご移転、新規店舗開業等に関するご要望ございましたら、お問い合わせよりご連絡いただけますようよろしくお願いいたします。