一敷地一建物の原則【コラム】

建築基準法では、1つの敷地に1つの建物しか建てられない原則があります。ただし、用途上不可分な建物に限って、2以上の建物を建築することが認められます。

例えば、小学校の校舎と体育館のように、教育施設用途として校舎だけでも体育館だけでも成り立たない場合は、校舎と体育館の従属性が認められ、「一体不可分」として1敷地に2以上の建物の建築が認められます。一方で、広い敷地内にもう一棟の戸建等を建設する場合などは、一般的には「可分」として認識され、敷地を分割する必要があります。

1敷地に2以上の建物を建築する場合、もしくは離れを適法に第三者へ賃貸される場合は、建築基準法に則って手続きを進める必要があります。

①可分か不可分を確認

敷地内に居住用の母屋と離れ(茶室など)がある場合に、離れだけを第三者へ賃貸したい、というご相談をいただくことがあります。

「不可分」であることを判断する上で、母屋と離れの「従属性」の有無が重要になります。いわゆる三種の神器(キッチン、トイレ、お風呂)が離れに備えてある、もしくは備える計画がある場合は、独立した居住空間(≒従属性は無い)と見なされ、「可分」(従属性は無い)と判断されることが多いです。可分か不可分の判断は、所有権や賃借権などの権利関係は考慮されず、建築・設備面(ハード面)での2つの建物の従属性を考慮して判断されます。

居住空間ではなく、母屋がレストラン、離れをカフェ等の用途として賃貸を希望される場合は、三種の神器に代わり「厨房」を共有しているか、などが従属性のポイントになります。それぞれの建物に厨房があり、従属性が無いと判断された場合、適法に賃貸するため敷地分割が必要になります。

いずれにしても、不可分である方向性で進めたいご意向の場合は、「従属性がある」理由を色々検討し、行政協議に臨む必要があります。

※判断は行政(建築指導課)によって異なる場合があります。また、規模によって見解が異なる場合も有ります。

②可分と判定されそうだけど離れを第三者に賃貸したい

敷地分割が必要になります。登記上、土地を分ける「分筆」とは異なりますため、ご注意ください。敷地分割とは、登記上は一つの土地のまま、建築基準法を満たすために設計者が任意の境界線を描き敷地を分割したと仮定し、分割された敷地の建物が建築基準法に適合していることを行政と確認する作業になります。行政は、道路への接道長さや建蔽率、容積率等に関する確認を行います。

敷地分割は、測量や登記手続きは不要の為、設計士により比較的簡易に行えます。敷地分割は、建築基準法上の便宜を図るもので、法的権利関係は元の土地のままです。母屋や離れのどちらかが違法建築物にならないよう、分割した土地の価値を毀損させないことがとても重要になります。

貸し出す離れが万が一200㎡を超える場合は、用途変更が必要な可能性にご注意ください。古い建物の場合は、台帳記載事項に用途が記載されていない場合もあり、過去の資料等に基づいた行政との協議が必要になります。(用途変更を要する場合は、プロジェクトの期間や予算に影響があるため、慎重に協議を進める必要があります。)

③敷地分割と分筆の違いとは

敷地分割と分筆は、どちらも土地を分ける行為を指しますが、登記簿上で土地が分かれるかどうかが主な違いです。

分筆とは、登記簿上で土地を複数に分け、それぞれが独立した土地として扱われるようにする手続きです。分筆後の土地は、それぞれ異なる地番が付き、所有者も別々に設定できます。相続や売買などで土地を分割する場合、分筆が必要になります。分筆には、土地家屋調査士による測量や境界確定(隣地所有者の立ち会いが必要)、司法書士による登記申請などの手続きが必要で、費用も発生します。土地家屋調査士に依頼して行うのが一般的です。

前述の通り、分割は登記簿上の法的権利関係は元のままの土地として扱われ、便宜的に区画を分けることを指します。

ただし、将来的に売却されるご予定の場合は、分筆する必要があります。登記簿上で独立した地番がなければ土地の一部だけを売却することはできません。

また、宅建業免許の登録が無い売主様の場合、部分的且つ短期間で反復継続して売却を計画される際は、宅建業法に抵触する可能性があるため、専門家へのご相談されながら進めることを推奨いたします。

ご参考になりましたら幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

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