2026.6.19
事業用賃貸における転貸借の注意点【コラム】
移転先、出店先をご案内する際に、貸主様が建物の所有者ではなく、転貸の場合が度々あります。
今まで様々な弁護士先生にヒアリングしてきた内容と実務上の手続きに距離感を感じ、そこに転借人としてのリスクがあると感じております。
A(賃貸人)→B(賃借人/転貸人)→C(転借人)
【転貸の主な例】
(1)管理・運営代行による転貸
→所有者が物件の管理手間を省いたり、空室リスクを回避するために、管理会社/専門業者を転貸人とする内容です。
(2)財務効率化を目的としたグループ企業による転貸
→所有者様が保有する資産管理会社のビルを、グループ全体の節税、契約窓口一元化を目的にグループ会社(転貸人)が借り上げて外部にテナントとして貸し出す内容です。
(3)専門オペレーターによる転貸
→ホテル・シェアオフィスのように転貸人(専門オペレーター)が内装や設備に多額の投資を行い、そのビジネスの成否がAB間の契約継続に直結する内容です。
(4)商業的な転貸
→賃貸人から安価に借りて、賃貸人の空室リスクを担保しつつ、転貸人の利益を乗せて貸し出す内容です。
→所有者が外国籍、外国に居住中の場合、借主が負担しなければならない源泉徴収税(※)が発生するため、借主を見つけやすくする営業的な側面を考慮した転貸借もあります。
※突如として、支払い済賃料合計の約20%の請求が国税庁より届くため、別コラムをご参照いただけましたら幸いです。
【転貸借契約のリスクとは】
A(賃貸人)→B(賃借人/転貸人)→C(転借人)転貸借契約において、 A↔Bが解消されたらB↔Cも解消される点が転貸借の転借人が抱える不安材料となります。(親亀コケて子亀もコケる)
B→Cの転貸には大きく①無断の転貸(Aが知らない転貸)、②適法の転貸(Aが認めた転貸)があります。
また、A↔Bが解除される主な要因は、③合意解除、④Bの債務不履行、になるかと思います。
①無断の転貸の場合、③もしくは④の場合もA↔Bが解除されるとCは退去せざる得なくなる可能性がございます。
②適法の転貸の場合、A↔Bが③合意解除の場合はCを追い出せない可能性が高くなります。理由は、合意解除は意図的なものであることも考えられるため、一度はAが認めたCの収益が守られるためです。
②適法の転貸の場合、④Bの債務不履行の場合でも、CからAへ賃料を支払うことで営業を続けられる場合もあります。
いずれにしても、Cの賃借権を守るためにはAがB↔Cの転貸を適法な転貸であることを明確にし、円滑にCの権利義務の地位が承継されるように書面を交わす必要性を感じております。
(A↔Bの賃料よりもB↔Cの賃料の方が一般的に高額なため、Aにとっても権利義務の承継を約するメリットはあります。)
【具体的な対応策】
①ABCの三者間で上記内容に関する覚書作成し、合意形成を図る。
➁ABの連名でCに対して、上記内容を担保する内容の確認書を提示する。
※上記対応策は例の一部になります。
【実務との距離感とは】
Cの仲介人として、A及びBに上記対応をお願いしたところ、そのような対応は今までしたことない、といった反応も多くあります。基本的にA及びBにご説明させていただき、ご納得いただけることが多くございます。(当社の実例では、全てご納得いただいております。)
A↔Bの賃貸借契約書の写しを確認し、転貸が適法であることを確認することもできますが、転貸例(2)の場合等は、A↔Bの賃貸借契約書が存在しない場合もあります。
経済が上り調子の場合は顕在化しにくいですが、景気停滞に差し掛かると、Bの債務不履行は起き得ないことではございません。特にBがB→Cの空室リスクを抱える場合は、空室が増える局面では何が起きてもおかしくはありません。
Cが何千万円もかけて作り上げた内装も、直接的に関係の無いA↔Bの問題で退去せざるを得ない可能性がありうるため、退去リスクの一部ではありますが、転貸借を軽視せずに、賃借権を守るための調整が必要だと考えます。
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