美容系の事業用賃貸について【コラム】

最近、美容系(エステサロン、美容院、美容室、理容室、床屋、アイラッシュサロン、まつ毛エクステ、ネイルサロン等)の事業用賃貸について、不動産仲介会社に依頼しても関係が続かず困っている、とのご相談をいただきサポートさせていただいております。

以下、美容系含む事業用賃貸についてポイントとなる点をまとめてみましたので、ご参考にしていただけたら幸いです。

①用途の制限について

【建築基準法上の制限】

事務所用途から下記サービス店舗に類する用途に変更する際は、用途変更は不要になります。

多くの美容系店舗は、下記サービス店舗に判別されますが、ベッド数の多いエステサロンなどは、「入院施設のある診療所」と判定されてしまい、「診療所」(特殊建築物)に該当してしまう場合は用途変更が必要になります。

※管轄の行政によって、多少見解が異なる場合もあるため、都度確認することを推奨いたします。(一般的には貸主様側の不動産仲介会社が把握しております。)

用途変更が必要になってしまう場合には、費用負担や開業時期の調整も必要になるかと思います。

A.理髪店美容院、質屋等

B.学習塾、囲碁教室、バレエ教室等

C.銀行の支店、損害保険代理店、不動産屋等

D.ネイルサロンエステサロン、カイロプラクティック、ペットケア、動物病院等

E.入院施設が無い診療所

物販店、飲食店等の場合も、200㎡未満であれ用途変更は必要ありませんが、200㎡以上の場合は用途変更が必要になります。

【消防法上の制限】

消防法にも建物の区画ごとに用途があり、不動産業者の方でも建築基準法と混合して考えられがちですが、全く別の重要な制限になります。

下記、消防法17条に定める「防火対象物」に該当する場合は、面積に関係なく用途が変われば届出をする必要があります。

映画館や飲食店、店舗・展示場、旅館・ホテル、共同住宅、病院、介護・福祉施設、学校、図書館、美術館、工場は「特定防火対象物」と呼ばれ、出火の原因になりやすい業態、身体が不自由な方々や不特定多数の人が出入りすることから消防設備の設置義務が厳しく設定されています。

(東京消防庁HPより引用)

美容系店舗の多くは、上記表15項の「非特定用途」に該当することが多く、制限が比較的に緩い分類になりますが、駅前の商業ビルなどの場合には、飲食店、スナック、カラオケなど「特定用途」のテナントが一定数を超える場合、上記表16項(イ)の複合用途防火対象物に該当し、建物全体に厳しい消防設備設置義務(スプリンクラー、自火報等)の制限を受けます。

貸主様側の不動産会社様が、「不特定多数の来客がある店舗は消防設備設置義務の制限に触れる可能性があるため全てNG」と誤解されている場合も多くあります。

また、防火対象物に該当する業種(主に飲食店・物販等)の場合、最近の裁判例からも、貸主・借主間で上記消防法の理解に関する紛争がしばしば発生しております。不動産仲介会社において、消防法に関しては業務範囲外であることを示す判決も多いですが、お客様の出店計画に大きな影響を及ぼすことから、物件がある管轄の消防署へ確認を行うことをお薦めいたします。(※一般的には貸主様側の不動産仲介会社が把握しております。)

【オーナー様による制限】

上記の建築基準法、消防法による制限を受けない場合でも、同じ建物に同業態が既に入居している(競合による退去連鎖を回避)、不特定多数の出入りを好まない、土日祝は閉館等、オーナー様の個別的な制限を受ける場合があります。

②美容系に適した物件情報

【保健所の美容業許可の要件】

管轄する保健所によって、専有できる給排水設備が求められる場合もあります。お客様より出店条件をヒアリングさせていただく際に確認し、給排水設備の有無、無い場合は引き込みの可否、引き込める場合は工事費の目線(B工事の有無)、等を事前に確認しご提案させていただきます。

※B工事:借主が貸主指定の業者に発注し、工事費を負担する工事。

【物件の選定について】

弊社では、上記の項目を含め、事前に出店可能か調査をした上でご提案させていただいております。

また、すぐに条件に合う物件が見つからない場合にも、継続的に物件情報をご案内させていただいております。

立地や建物は変えられない一方で、経済条件に関しては、貸主様との合意次第では調整いただけることも多々ございます。

まずは、ご希望の条件、立地など、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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