2024.4.17
事業用不動産の収益改善施策~屋外広告~【コラム】
自動販売機による収益改善に続き、屋外広告についてまとめてみましたので、ご参考いただけましたら幸いです。
※屋外広告に関する規制は建物の立地や管轄の市町村によって異なるため、都心ビル(繁華性の高い商業地域)を前提とさせていただいております。
【行政との協議】
ビルの屋外広告には主に2種類あります。建物の屋上に既に組み上がっている鉄骨を利用して掲出するタイプ(屋上広告)と、建物の壁面を利用して掲出するタイプ(壁面広告)になります。
屋上広告について、高さ4mを超える看板は建築基準法第88条の規定により確認申請が必要な工作物に該当し、落下による事故等を防ぐため、単体として地震等の荷重・外力に対して安全なものとしなければなりません(構造計算書も必要)。
壁面広告について、高さが 10mを超える建築物に壁面広告を表示するときは、壁面の総面積30%以下となっているため、建築物の壁面の状況が分かる図面(現に壁面又は屋上に広告物があるときは、位置及び表示面積の分かるもの)と、その広告物のカラー写真が必要となります。
また、広告の内容について、営利目的でない絵、シンボルマークなどでも屋外広告の規制の対象になります。
使用できる色彩、デザインの内容など規制が細かくあるため、管轄する行政窓口との細かい調整が必要になります。屋外広告物は、一級・二級建築士、または屋外広告士による申請が必要なため、ご検討の際は専門家へのご相談をお勧めします。
【広告会社・広告主との契約】
実際に、広告掲出する際の契約方法は主に2種類あります。
建物所有者と広告主が直接契約する契約と、建物所有者と広告会社が契約し、広告会社が広告主へサブリースする契約があります。
都内は、一般的にサブリースが多いように思います。また、既に広告掲載している建物も、既存の契約を見直すこともできます。過去に、築約50年のビルで、既存広告の広告料金の改定で大幅に収益改善できた例もあります。広告掲出を始めた当時(約50年前)から経済環境が変化しており、安定して稼働している場合は、広告料の改定に応じていただけることが多いです。
サブリース契約の内容にもよりますが、入居テナント様に影響を及ぼさないように、建物所有者が事前に広告内容を承認、または広告会社様へ意見できる内容での合意も調整可能です。
【屋外広告掲出までの流れ】
①工作物確認申請(※屋上広告の場合)→②屋外広告物申請→③看板製作→④看板取付
(東京都都市整備局「屋外広告のしおり」より引用)
都内は屋外広告に関する規制が厳しく、プロセスが煩雑になるため、広告会社様(屋外広告登録業者)を通して、設置まで一貫して対応いただける広告会社様へ委託されることが多いです。
【屋外広告収入】
場所によって需要が異なるため、近隣で設置実績のある広告会社様にヒアリングし、屋外広告収入の目線を検討します。
屋外広告について、広告の需給がオープンになっていないことから、広告会社様が把握されている需要が異なり、広告会社各社様よりご提案いただく屋外広告収入目線には差があるため、様々な広告会社様へご相談されることをお勧めします。
既存テナント様がご希望の場合は、テナントサービスの一環として掲出いただくこともできるかと思います。
屋外広告での収益が仮に年間100万円発生した場合、都心ビルであれば利回り3.5~5%だと想定しても、売却価格に約2,000万~2,900万円(≒100万円÷3.5~5%)の上乗せになるかもしれません。
自動販売機同様に、売却前に収益改善に取り組むと、売却時により有利な価格で売却できる可能性が高まります。
また、自動販売機・屋外広告以外にも、1Fにスペースがあればキッチンカーへの貸し出しもテナントサービスと両立する収益改善施策になるかもしれません。
まずは、お気軽にご相談いただければ幸いです。