2024.11.2
居住用財産3,000万円控除は引越しから3年経過する年の年末まで有効【コラム】
売却益が発生した不動産の売主様を対象とした特別控除の制度、「マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。」のいわゆる3,000万円特別控除の制度について、見落としがちな部分についてお伝えさせていただきます。
※制度全般に関する詳細な内容は割愛させていただきます。(参照:国税庁HP)
2021年中は、コロナの影響で都内から郊外へ移転する動きがありました。その後、都内の地価は急上昇しております。都内に空き家を保有されているなど、このような状況に該当し、不動産の売却をご検討の際は、住民票を転出済み・現況空き家・第三者への賃貸中に関わらず、2024年12月31日(3年を経過する日の属する年の12月31日まで)までに売却(契約締結)することで、3,000万円控除の対象になります。
対象となる「居住用財産」の税法による定義
「居住用財産」は聞きなれない言葉ですが、上記特別控除の申告に際して、税法(租税措置法31条の3)で定義されています。
①居住の用に供している家屋
②居住の用に供されなくなった家屋(居住の用に供されなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるものに限る。)
③この家屋及びその敷地の土地等
現況が空き家でも、上記②に記載の通り、引越ししてから3年後の12月31日までは居住用財産になります。
また、2021年は自宅として住んでいたものの、現在(2024年)は賃貸している賃貸物件であっても、オーナーチェンジ(賃借人付きの条件で売却)で売却する場合は「居住用財産」に該当し、3,000万円の特別控除に該当します。
上記③の土地売却に関しては、家屋と同時に売却することに限り、居住用財産に該当します。(※家屋の解体から1年以内の譲渡契約に限り例外で控除の対象)
「居住の用に供する」とは
「居住の用に供する」も聞きなれない言葉ですが、実際に税務署が控除の判定をする際、生活状況(電気、ガス、水道の使用状況)や設備の使用状況、近隣住民への聞き取り調査などにより、状況証拠の有無を勘案して判定されます。虚偽の判定になった場合、控除は否認され、重加算税等が科されてしまいますためご注意ください。
ただし、売主様が老人ホームに入居している場合などは、控除の対象になるなど、転勤の場合なども含め複合的な状況から判定が行われます。
住民票を残しておけば問題無し、という情報には十分ご注意ください。
12月31日までの「売却」とは
売却の定義について、「契約締結」でも「引き渡し」(決済日)のどちらでも売却に該当します。
いずれにしても、翌年の確定申告は必須になります。契約締結日ベースの場合、引き渡しされていない状況であっても、確定申告は必要になります。
3,000万円控除の見落としがちな点のみをお伝えさせていただきましたが、皆様のご参考になりましたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。